東急歌舞伎町タワーにあるラグジュアリーホテルBELLUSTAR TOKYOから、バスアメニティについてのプレスリリースが配信されました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002801.000005113.html
このところ、エコ、SDGs、脱プラ、脱炭素の流れの中、個包装のプラスチック容器を削減する動きがあります。その流れの中で、バスアメニティを個包装からポンプタイプに切り替える動きが活発です。
ただ、これは必ずしもユーザ―フレンドリーとは言えない面があるのも確かです。特に、ラグジュアリーホテルのカテゴリーにおいては。
ビジネスホテルと違い、ゲストは空間と滞在に高めの対価を支払います。ふかふかのタオルに、こだわったアメニティがたっぷり置かれていることは必須条件。なのに、そこに、ビジネスホテルとさほど変わらないポンプタイプのものが置かれていては、何だか不当に感じるのは当たり前のことです。
かつ、ポンプタイプに不安を感じられる方が、一定数おられるのも確かです。特に、コロナ禍での衛生意識の高まりと、回転ずしのガリやし醤油へのいたずら。低価格帯であれば、まだ仕方無いと思う面があっても、高価格帯で絶対の快適と安全を期待しているのに、何かの不安要素があるという事に、納得できないとの声も多数あります。(8月15日付けの日経の夕刊コラム”あすへの話題”に林真理子さんがこの不安について書いておられました)
このプロジェクトにおいても、当初は、ボトルでの運用をご提案しました。ALL THAT SPAで使用しているボトルは、サトウキビ由来の材料が入っており、焼却処分しても有毒ガスが出ない仕様になっています。このボトルもしくは、もっと自然素材比率が高いボトル(日本未導入)も併せてご提案しました。製造する側にとっては、当たり前の“焼却処分”ですが、選定する側にとっては、初耳の現実です。そうなんです。結局は焼却されてます。いくら分別しても。
本当にリサイクルできるシステムは無いのか、と検討を重ねて辿り着いたのが、今回導入の仕組みです。
リサイクルの基本は、”単一素材”です。”自然っぽく”見せるため、和紙を貼りつけたり、プラボトルに木のキャップを付けたりと、??と??で頭が膨らんじゃうような製品がどんどん出てくるのですが、これらは手間を増やし焼却物を増やすだけなんです。
この現実を、私自身は、以前在籍していた日本コカ・コーラで学びました。ペットが導入される前の飲料は、缶かガラス瓶でしたが、このリサイクル率はすでに90%を超えていたのです。プラボトルの導入には、それなりの準備がいると本社から指導を受けましたが、そのポイントは、デザインなんです。ちょっとした差異を付けようとして、ボトルに色を付けることで、リサイクルが難しくなるのですが、当時はその要素について業界に共通認識はありませんでした。今は透明ボトルに加え、ロハコが推進したラベルレスが徐々に広がりつつあります。
一方、化粧品については、実効性がある取り組みがまだありません。回収しにくい事も原因の一つです。この点を考えると、ホテルのバスアメニティは、リサイクルとの相性はとても良いのです。製品設計と回収のオペレーションに理解があれば、一般化粧品に比べてはるかに実行しやすいジャンルです。
この仕組みは、日本の容器メーカーが、長年の試行錯誤の末に確立しました。日本初であると同時に、世界初のシステムです。ラグジュアリーとエコは両立することを、日本から発信したいと思います。