8月8日、封切の日に、映画「日本のいちばん長い日」を観てきました。
http://nihon-ichi.jp/
日本において、天皇を描くことが長年タブーとされてきた中、画期的な映画だと思います。
2006年に公開された「太陽」でも昭和天皇が描かれていますが、わずか10年前のこの時期でも、”海外での製作、外国人監督だから映画化できた、日本では無理だろう”と言われたものでした。銀座のシネパトスで上映されていて、満席続きでしたが、大箱の映画館では上映されず、ひっそりと終わった記憶があります。
それに比べると、日本の制作で、大箱での上映となり、一流の俳優陣の名演技を観ることができることだけでも、大きな意味があると感じました。映画館は早朝上映にも関わらずほぼ満席でした。
戦地だけでなく、本土空襲を受け、原爆を投下され、一般人が多く死亡したという点で、日本の敗戦は本当に痛ましいものでした。子供の頃に聞かされた話は、満州引き揚げがいかに大変だったか、ソ連が不可侵条約を破って攻めてきたことの恐怖、集団疎開の空腹の話などでした。これだけでも大変だったけど、”一億総自決”という話もあったのよ、その直前に、玉音放送があって戦争が終わったの、という話は、もっと後に祖母から聞きました。
映画で描かれていたシーンは、空襲で東京が焼野原になっても、広島で原爆が落とされても、長崎で落とされても、それでもなお、戦争を続けようとする陸軍、それを止め切れない政治家、そして最後は、天皇の”聖断”に委ねるという流れでした。
ポツダム宣言を受け入れれば、戦争が終結していたことを思うと、末期の空襲、原爆、特攻作戦での日本人の死は、決められない国の指導者がもたらした悲劇のように感じます。一億総自決って、何を残すための”作戦”だったのか。この時代の日本のリーダーにとって、国民ってどういう存在だったのでしょう。
この映画を観ていて、日本って学ばない国なんだな、と暗澹たる気持ちになりました。他国に言われるまでも無く、日本の戦後は終わってないし、総括できてない。
暗い気持ちにはなったものの、唯一の救いは、「太陽」から10年たち、この映画が製作・公開されたことです。これは大きな一歩かも。
胸にずっしり来る、重いテーマですが、映画そのものの質の高さにも感銘を受けます。