昨日、ボストンコンサルティンググループ(BCG)の同窓会がありました。これは毎年会社主催で行われているもので、世界中のオフィスで行われ、その日に参加可能な事務所主催のものに参加できる仕組みになっています。
卒業生のネットワークはもちろん、BCGとのつながりも維持されています。数年前のこのパーティでは、シーガイアのことをプレゼンさせてもらい、”ぜひ使ってください!”とお願いしたところ、OBの方々が会社のイベントで使ってくださったり、BCG本体も社員旅行で数百名の来訪を実現してくれました。
大盛況で、時間が過ぎてもずっと話し続けており、熱気に満ちた会だったと思います。現役社員で300人、卒業生で380人と聞きましたが、私が在籍していた頃に比べると、大企業になったような印象があります。以前は少なかった大組織の社長・役員も随分増えました。強力なネットワークだと思います。
BCGには大学を卒業して30代を迎えるまでの8年間在籍しました。コンサルティング会社の在籍期間としては長い方だと思います。その後、コカ・コーラやリーバイスでマーケティングの業務に就いたり、ホテル再生に従事したりと、色んな経験を積んできていますが、今振り返ってみても、マネジメントコンサルティングの仕事は元来の私と最も遠く、最も苦労した仕事でした。(何度辞めようと思ったかしれません)
もともと、私はかなり直感型の人間で、右脳・左脳で判断すると、限りなく右脳系に近いのではないか、というのが自己分析です。そんな私が無謀にもコンサルティング会社に入ったのは、若い時期に弱点を克服しないといけないのではないか、と真剣に考えたからです。と、志を高くもったのは良かったものの、思った以上にその距離はあり、ひたすら悩み続ける毎日でした。
学校を卒業して、社会人になったとき、何となく考えていたのは、ちょっとは社会の役に立ちたい、ということと、新しいサービスや商品を世に出してみたいなあ、ということでした。(後でそれは”価値創造”と言うのだと知りましたが)まだまだフワフワした日々を送っていた頃、プロジェクトリーダーに”あのさ、君みたいにちょっと素敵なものが好き、トレンドに強いんです、っているタイプの若い女性はいくらでもいるんだよね。そんなんで何をやろうっていうの?”と厳しい指摘を受けました。かなりヘコみましたが、その日をきっかけに、かなり真剣に右脳と左脳の両立を考えるようになりました。
BCGのアプローチは100%本質論であり基本論です。ビジネスの構造をシンプルに理解するところまで、徹底的に因数分解していき、成功・失敗要因を分析していきます。このプロセスを何度も何度も繰り返し、本質をつかめるようになると、ようやく一人前をみなされます。ケースミーティングという定例の会議では、ヘトヘトになるまでこの議論を行います。
その後の私のお仕事人生の中で、この経験が全ての基礎になっています。本当に役に立つと、コカ・コーラのときにももちろん思っていましたが、本当にそう実感したのは、シーガイアの再生のとき、そして今です。
ホテル・スパの業界は、一見とても優雅で、夢に満ちた世界です。セラピストのみならず、ホテル・旅館の経営者、オーナーの方々も”こんな方が?”という人まで、Dreamerになってしまうのです。そういった相談を受けながら、いつも思い出すのが、かつてBCGの上司に言われた一言です。ふわふわしたこと、感覚論を、どう数字に落とし込んで、実際のプログラムにつなげ、成功確率を上げるのか、あの8年間は今につながる修行の日々でした。
BCGはとても正直で率直な場でした。厳しく暖かく本音が言えるところ、それは本当に得がたい実家でもあります。たくさんの方々に”ウィンザー行ったよ””シーガイア行ったよ””次は何を作るの?案内送ってね”と声をかけていただき、元気いっぱいになっての帰宅となりました。