このところ、スパには随分働く女性たちが増えました。有閑マダムでもなくリッチな家のお嬢様たちでもなく、働いて、おしゃれして、楽しんでいる方々です。忙しい中、どのように効率よくお手入れすれば良いか、との質問もよく受けます。
典型的な不精者で、お化粧すらあまり好きでない、というタイプの私がある程度お手入れしないと・・と考えるようになったのは、社会人2年目のことでした。初めての職場であるBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)は、日経新聞すら読んだことのなかった私にとっては、それはそれはハードな職場で、入った途端に場違いだと思ったものの、生活がかかっているからには(東京で一人暮らしだったので)、クビになるわけにもいかず、とにかく良く働きました。週末休んだ記憶も、夏季休暇を取った記憶もありません。そんな日々を送っている中、久々に大学の友人と食事をした折、”貴子、何だかおばあさんになったみたい・・”え~っ私一応まだ23なんだけど!
家に帰って鏡を見ると、確かに顔色は悪い・しわやたるみもある、何より目の下のくまが痛々しい・・という悲惨な自分がそこにいました。そこで丁度もらった冬のボーナスを全額もって、新宿のエステサロンに飛び込んだ、というのが私のお手入れ始めです。今考えると、”お得な”チケットを販売する典型的なエステサロンだったのですが、担当してくださったエステティシャンは、とても面倒見が良く、時々キャンペーンはあったものの、私はとてもハッピーにその店に通い続けました。(そのエステティシャンが異動になったのを機に通うのはやめましたけど)
当初フェイシャルばかりをお願いしていたのですが、”あまりに肩こりがひどいので、一度ボディもやってみたらどうか?”ということになり、恐る恐る全身のマッサージを加えてもらったところ、一度で顔色が回復!そこで、改めて”体は一つ”ということを実感します。もう20年以上も前のことで、今ほどエステティックサロンでマッサージを受ける、ということは一般的ではありませんでした。全てにオルラーヌを使用していましたので、当時で、4~5万円はしたと思います。(今より高かった気がします)
20代前半の小娘にしては、かなり無謀なお金の使い方だったと思うこともありますが、何しろ遊びに行く時間はほとんど無く、服はスーツがあればまあOK、とにかくどんな過酷な状況でも朝起きて会社に行き、クライアント先では元気一杯、というお題を乗り切るには、まあしょうがなかったかな、と思います。あまりに肩や背中が張っていたとき、結婚式の数日前に徹夜で仕事をした後など、私のばりばりに凝った体をほぐしながら、いつも彼女はため息をついて心底心配してくれていました。とても素敵な人でした。
その後、海外に行く機会が増え、同じように働く女性たちがどう自分をメンテナンスしているのか、見聞きする機会も増えました。アジア、米国、欧州、どこでも共通していたのは”行きつけ”を持っていたことです。欧米ではエステティックが多かったと思いますが、アジアは既に台頭しつつあったホテルスパ(といっても基本はフィットネス+オイルマッサージ)のメンバーになって、夜は必ず寄って、トリートメントを受けてから帰る、というパターンでした。で、あまり化粧品そのものには詳しくなく”だって塗ってる時間ないし”というコメントが多かった気がします。
確かに、自分自身のことを考えてみても、買いに行く時間なんてないし、パックしてる時間なんか無いしで、とにかく信頼できるサロンを見つけて、月に1回顔と体を全部面倒見てもらう、という方がよほど効果があると思います。最近は、お仕事でもあるので、一応話題のクリームとかパックは試してみますが、やはりプロの手にはかなわない、というのが実感です。
働く喜びもあるけれど、ストレスも疲労もある現代のワーキングウーマンたち。生活の一部にスパでのトリートメントを組み込み、信頼できるセラピストと共に乗り切っていただきたいものです。あ~っ奥さんほしい~!!と叫びつつ深夜残業と出張の嵐をこなしていたころ、私を支えてくれたのは、数名の(予約をいつでも入れたいので、数箇所の行きつけがありました)笑顔のセラピストたちでした。深く感謝です。