私の仕事はじめはBCG,それからコカ・コーラ、リーバイスと仕事を始めて約15年、どっぷりと米国カルチャーに浸って仕事を続けてきました。面白いことに本社がボストン→アトランタ→サンフランシスコ→シリコンバレーと東海岸から西海岸まで米国を横断してきており、出張などの機会を通じて、それぞれの地域の差を感じることもできました。
それもあって、大学院でマネジメントコースと受講してみようかと思い立ったとき、ハーバードやスタンフォードではなく、フランスに行ってみようと思い(あと、夏のフォンテンヌブローは綺麗だろうなあ、と思ったこともあって)INSEADに応募しました。その後、ブラブラと1ヶ月近くフランス国内を旅行し、田舎の町にも行ってみて感じたのは、”日本はやっぱりヨーロッパ型だ”ということです。
米国に出かけて、何よりつらいのは、”安全に歩ける"範囲は狭く、ほとんど車移動になってしまうことと、あまりにもおいしいくない食事でした。アメリカが広いから車でないと移動できない、というわけではなく、一部ダウンタウンは危険だからダメなのです。特に、コカ・コーラがあったアトランタは最悪でした。夜の外出は車でも危険なことがあり、安全なのは富裕層が住んでいる地域の高級ショッピングセンターとホテルの中ぐらいです。NY,ボストン、サンフランシスコはまだいいですが、ロスも結構怖いと感じました。
一方、フランスで感じたのは、安全で楽しくおいしい、ということです。INSEADがあったフォンテンヌブローでは、週末に朝市があるのですが、野菜もパンも本当に美味しく、デリもはずれが無くて、おまけにレストランもどこもおいしく、滞在中ぷっくりと太ってしまいました。(ちなみに、米国に行くことは私にとって最高のダイエットとなっています)多くの街は私のような小柄な日本人女性でもとことこ安全に歩け、旅行者でも、地元の人でも気軽に声をかけてくれました。数ヶ月に亘った一人旅でしたが、あらゆるところで、歴史と伝統に支えられた、ライフスタイルを感じることができました。
今振り返っても、仕事に就いて長い間、米国流の経営や考え方を学べたことは、自分にとって大きな財産だったと思っていますし、日本企業に就職していたら、今のような展開は無かったと思っています。ただ、国の成り立ちや考え方の点から言って、米国の真似をすることが日本の未来か、と考えてみると、それは違うと思っています。
ホスピタリティビジネスでは、色んな機会に”Sense of Place"という言葉を耳にします。帰国して、ウィンザーやシーガイアのプロジェクトにかかわることになったとき、自分なりに、日本らしさ、北海道らしさ、宮崎らしさを表現したいと強く思うようになりました。
実はこういった考え方は米国資本主義の基本”グローバライゼーション”に真っ向から反することです。フランスなどの欧州各国では、TVでしょっちゅう”米国流グローバライゼーション反対!規制をかけろ!”といった討論番組をやっていました。ふ~~ん、と大した興味ももたずに見ていたのですが、今となっては、その問題と対立の深さがようやく少し理解できるようになりました。
ディズニーランドの大成功、マック大好き、とすんなり米国文化を受け入れ、金融、法律、企業統治まで米国流を受け入れつづけた日本。日本は規制があるとはいうものの、結果を見れば、実は米国流グローバライゼーションの優等生なのではないかと思います。
でもこれからは?日本得意の”カイゼン”をもって、米国文化や経済の良いところだけ取り入れ、日本流を築く時期に来ていると感じます。