これから、先進国では平均寿命が100歳になります。新興国でも追いつきます。詳しくは、今や世界的なベストセラーになっているこちらをどうぞ。
具体的なイメージについては、著者と糸井重里さんの対談がわかりやすい。
100年の寿命の間に、人口知能が発達しロボットに多くの仕事が代替されることも予測されています。この予測はほぼ確実にやってくる未来で、これから価値観は間違いなく大きく変わります。
大ざっぱに言えば、これまで安定していると思われた職種の多く、例えば事務職・銀行員・弁護士などの職種のうち、ルーチーンをこなしていた仕事が消えます。病気の診断もAIの方が正確だという評価になってきています。人間が決めたルールの処理、多くの事例のパターン解析は、AIの方が得意です。
運転、介護、レジ打ちなどの単純業務も消えます。自動運転や人に近いロボットが出現するからです。多少感性が鈍い人間より、学習能力が高いロボットの方が良いサービスを提供できます。すでに人工皮膚や自然な笑顔などを作る技術も一定のレベルに来ています。美男美女ロボットが登場するかもしれません。
当面は、人間がお客様なので、インターフェイス(接客力)を求められる部分の存在価値が高まります。具体的に会社の事例で考えると、頭はいいかもしれないけれど、説明能力が低くて威張った感じの部長より、明るくて感じよく説明できる若手営業の方が価値が高くなります。
その先はわかりません。技術者のプレゼンテーションを聞くと、まるでSFの世界だよー!と驚愕します。ロボットの方が優秀で、人間はいらない!とAIが判断しちゃう日が来るかも。一つ間違えばターミネーターです。学者さんの考えは様々で、夢のような世界が待っている!という楽観シナリオと、みじめな老後が待っている!という悲観シナリオとすさまじい幅です。
今開発されている技術を、どう世の中に導入するのかは、大きな決断が必要なので、これには政治的判断が大きくかかわってきます。政治家や役所の人が熟慮の上、適切な判断をしてくれることを祈るのみです。くれぐれも、自分たちだけ楽ちんな場所にいて、国民の大半は惨めな思いをする、などという戦中・戦後のようになりませんように。
さて、そんな大変化が間違いなく起きるこれからですが、ポジティブに生きるキーワードは”健康と文化”だと思っています。
まず、寿命が延びても、疾病を抱えた状態では、せっかくの時間が楽しくありません。おまけに医療費がかかります。激務に耐えて高給を稼いだとしても、もし定年後に持病を抱えた状態になると、老後リスクは一気に増大します。成人病にかかる前に、自分のメンテナンス方法を学ぶことが必須です。成人病になるメカニズム、予防のための食べ方、運動習慣、メンタルケア、ボディケアを知ることで、身体のもちは大きく変わるはずです。それから、気持ちも体も”若々しい”ことが高い価値を持ちます。お肌のエイジングケアも一層大切ですね。
暇になる時間をどうマイペースで過ごすか、実は多くの現代人が苦手です。仕事ができる人ほど”時間があくと不安”だと口にします。決められた組織やルールの中で育ってくると、自分で時間をどう使っていいかわからなくなるからです。でも、実は歴史上生まれた文化は、大いなる暇の中で生まれてきました。フランスでは宮廷料理、バレエ、ダンス、ドレス、ジュエリー、それにエステ。これは全てフランス革命前の宮廷文化の賜物です。重税感から革命が起きて滅ぼされてしまいましたが、皮肉なことに、これがフランスのブランドの基礎になっています。日本も同じです。平安時代に和歌が誕生し、今の着物の文化が生まれました。茶道も形作られたのは、平和だった江戸時代の武士の暇つぶしですし、昭和に入ってからは時間を持て余したお嬢様の花嫁修業として今の形になりました。暇って悪いことじゃないのです。
幸いなことに、日本には文化の蓄積が全国にあります。その多くは地方に眠っており、もの作りでも、観光でも活用できる資産は山のようにあります。高齢化や二次交通がネックになっていましたが、この問題の解決に、新しい技術は大きく役立つと思います。技術が導入されることで、また活躍の場を持てるシニア世代も多くいるはずです。
日本には、”ご隠居さん”というロールモデルがありました。日本地図を作った伊能忠敬は、ご隠居時代に、自費で測量しましたし、私のヒーロー、貝原益軒は、隠居時代に若い奥さんと日本中元気に旅をしています。
そして、私は、そんな楽しい人生後半に向けて、スパ的生活を自分の軸にすると決めました。体のこと、食べること、植物のこと、日本の文化のこと、緑の中を旅すること、知りたいことや伝えたいことや体験したいことでいっぱいです。