BCGアルムナイ仲間である、西口さんの仕切りで開催された、「海外諸国のコロナ出口戦略を聞く会」に参加しました。もちろんZOOMです。世界各地で活躍するBCG出身者や金融関係のエキスパートがスピーカーになり、かつ、秀逸なプレゼンスライドが準備されての2時間。参加者650人という熱気と、ワクワク感に満ちた時間でした。
イスラエル、ハワイ、中国、台湾、パリ、ロンドン在住者から、まさに”今”の状況と、政府の対応や経済状況に関するアップデートがありました。何と言っても面白かったのは、イスラエルとハワイ。
イスラエルは、ビジネスの世界では、スタートアップの聖地として知られています。日本みたいに平和ボケでは存続できない国なので、危機の中にあって、優秀な人材を育成していると評価されています。そんな国、コロナウィルスの封じ込めも、超優等生。まず、コロナ発生が報じられ始めると、米国の航空機も、早々に受け入れ禁止。米国無くしては存在しない国ですが、こういう措置は冷静でドライ。どこかの国のヘタレ首相とは大違い。何と、国民全員に軍役の義務があるそうです。国自体が変動し、カオスは当たり前という状況なので、方針転換も柔軟。声を上げる手段としてデモがあり、その主張をもとに交渉が始まるのだそうです。ロックダウンについての状況には衝撃を受けました。イスラエルでは、安息が重要な概念として定着しているので、金曜日と土曜日は、店が閉まるシャバットという習慣がある。毎年1日は、本当にすべてが止まるヨム・キプルという日があり、この日は、テレビも放映が無く、道路にも人がいない、そしてすべての飛行機が止まる、という徹底ぶりなのだそうです。そういう意味で、ロックダウンに慣れている、まれな国。食料自給率100%!
そして、ハワイ。ハワイについては、観光業がどうなるのか?に興味がありました。影響度はハンパないようです。GDPの20%を観光が占め、軍と並んで重要な収入源。月3万人いた来訪者がなんと200人まで激減し、今、ハワイは在住者のみ。失業率は34%。ただし、補償も充実していて、個人向けの補償であるStimulus Checkは、何の手続きもせず、入金されていて、人件費の補填については、PDF2枚をメールで送ると、2ヶ月分の人件費が1週間程度で入金されているとのこと。またまた、どこかの国とは大違い。取引銀行から振り込まれ、その後、国が銀行に補填する仕組みになっているそうです。
観光については、このところLCCが増え、バックパッカーが目立つようになり、なんと、ホームレスまでいたそうです。(私が知っているハワイとは違っているかも)この事もあり、”今のハワイ、いいね、これが本当にハワイだよね”との声が上がっており、本来のハワイらしさである、農業、天文、民族といったコンテンツを大切にした観光を強化する方向を目指しているとのことでした。こういう話、京都にもヒントになるかも。
それぞれの国に共通していたのは、権利もあれば義務もある、強みと弱みがそれぞれに露呈した、といった点です。
日本の場合、支給が遅いと非難の声が上がってます。政府の対応が悪く、役所が非効率なことは事実ですが、ある意味、それも国民の総意だったんだな、と実感しました。声を上げないのはもちろんですが、マイナンバーを拒絶したこと、いまだに現金主義が主流であること、紙が好きなことなど。ハワイのPDF2枚はすごいな~と思いますが、日本の零細企業になると、いまだ手で帳簿をつけている会社さえあります。何か制度が出来るたびに、”パソコンが無い””雇用保険に入ってない””明日から家賃払えない”と相応を超える不満の声があがり、それをメディアも取り上げます。そして、次々に救済策が出てきて、最初のルールがどんどん変わる。まさに、権利もあれば義務もある、が機能していない現実。中国よりも、もっと社会主義的(しかも甘々)。
中国は、経済成長率が文化大革命以来初めてのマイナスになり、それ自体が大変な衝撃なんだとか。早くもコロナ前に戻りつつあり、傷が浅いのかと思いきや、プラス成長が前提の国ならではの苦労もあるようです。もともと強みだったデジタル化は一層加速しそうです。ビジネス目的のみ入国可、という状況は続きそうです。今後はあの巨大マーケットを強みに、内需拡大が進むでしょう。
どこにもパラダイスは無く、どこの国も、痛みを抱えて出口を模索している様子がよくわかりました。お手本も正解も無い中、まずはやってみる、変わってみる、がキーワードだよね、というサマリで終わったZOOM会議。元気出ました!秀逸ファシリテーター、そしてスピーカーの皆さま、有難うございました。