女帝 小池百合子 一気読みしました。
7月5日実施予定の東京都知事選前の上梓。さすが文芸春秋!小池さんは、長年カイロ大学の学歴詐称が問題視されている人で、最近もオンラインメディアでちらほら出てくるようになりました。学歴詐称・経歴詐称は誰にとっても問題ですが、政治家にとっては進退問題に発展します。
政治家には多少の嘘もあるだろうし、仕事してくれて、見栄えが良ければいいんじゃない?と、ほとんどこういう人の経歴には興味がなかった私。ただ、このところの安倍政権のグダグダを見ていると、”やっぱり嘘は良くない”と思うようになりました。(今さらですけど)嘘は弱さの表れで、そこからごまかしや不正が連なっていくことを目の当たりにすると、そういう人をトップに据えることの怖さを感じ始めたからです。
この本、ものすご~く緻密に取材してあります。緻密に取材して時系列で見るからこそ、矛盾が出てきます。コロコロ変わる発言、口約束ばかりで何も達成できていないこと、何よりも、人を平気で裏切る様が次々と出てきます。これはもう、学歴詐称うんぬんではなく、人としてどうなの!?というレベルです。
読んでいて感じたのは、無茶苦茶”昭和”である点です。昭和の時代、社会に出て活動する女性はまだ稀でした。この時代に起きたことの典型は、野心のある若い女性が権力や財力のある年上の男性の支援で世に出たことです。政治家もそうだし、起業家もそうです。あの人はあの人のパトロン、という噂はいくらでもありました。某ホテルのプールに行くと、大体誰が誰と付き合っているか、一目瞭然でした。(脇も甘かった)若かりし頃の小池さん、コケティッシュで魅力的。応援してくれるおじさんたちは、いくらでもいたことでしょう。
東京で暮らしていると、都知事や区長を意識することはほとんどありません。これは、宮崎で知事や市長の動向が身近だったのとは大違い。正直、今年都知事選があることも忘れていましたし、普通に小池さんに投票するんだろうなあ、と思ってました。突然”ロックダウン”と言い出すまでは。
東京オリンピックの延期が決まった翌日、突然記者会見をして”東京は危機的状況にある、ロックダウンに迫られている!”と言い出したのです。前のブログにも書きましたが、このタイミングでの発表を見ていて、新型コロナって実は大した事ないんだ、と確信を持ちました。心配な状態はその前にあり、すでに落ち着いた感がありましたから。確かに、政府の対応は酷かったし、役所対応も酷かった。でもそれは、小池さんの奇襲攻撃にあったからだと思ってます。
東京で何が起きたかと言えば、街は死んだようになり、いくつかの飲食店は潰れました。営業再開になっても、まだまだ綱渡りの状態が続きます。ホームレスの人もこれから増えると思います。必要なかった外出自粛と経済活動の停止を起こしてしまったのです。
連日テレビに出てパフォーマンスをしていますが、その間、何もしていません。やった事と言えば、貴重な防護服30万着を早々と中国に送ったこと。この時期、都の記者会見で、”送って大丈夫か?”との記者からの質問を受けて、東京都には十分な備蓄があり、中国に送っても支障は無い、と発言しています。支障おおありだったのは、その後の報道で明らかな通り。大阪の場合、もともと予算が無く備蓄が無かったので、”雨合羽でも送って!”と声をかけました。が、東京都の場合、そもそも都知事自ら”余裕があるのよ~”と言って中国に送ってしまった手前、寄付を呼び掛けることもできず、医療従事者はものすごい危険に晒されました。私の知り合いのクリニックも四苦八苦していて、本当に気の毒でした。
そして、いち早く東京都が打ち出した”休業協力金” 前振りは4月10日ぐらいから始まって、受付が4月22日。ゴールデンウィーク明けには支給する、との触れ込みでスタートしました。慌てたのは、他の自治体で、そもそもそんな予算をもともと持っていないので”やる”とは言えない。地方交付金を流用してもいい、とのお墨付きを国からようやくもらって、バタバタと準備。ワイドショーでは、東京都と埼玉県の県境にある飲食店を取材し、”東京都はいいですよね~”とのコメントを繰り返し放送しました。
その結果、今何が起きているかと言えば、実はまだ振り込まれていない!という現実です。4月下旬に手続きして、1か月経ってもまだ何も結果が出ていない。これはまさに詐欺。そのため、5月末まで自粛延長になったとき、多くの事業者が営業再開を続々と決めました。東京都は事業者が多いという事情はもちろんあります。ただ、この協力金、もともと小池さんが仕掛けたものです。東京都には予算も人手も潤沢にあります。でも、やる気は無かった。GW中、都庁職員は普通に休んでいましたし、少人数で着手始めたのは、5月10日過ぎだったと聞いてます。ちなみに、GW明けにプログラムを発表し、受付を静かに開始した京都府の支援金は10日ほどで振り込まれていましたし、評判の悪い持続化給付金も、5月末には入金されていました。唯一何も無かったのが、東京都の休業協力金のみです。
こういう状態ですが、小池さんの支持率は、コロナ以降うなぎのぼり。コロナ前は、指示・不支持がほぼ拮抗していたにも拘わらず、コロナで一気に20ポイント以上を上げ、今や支持率70%。もともと、防護服30万着を中国に送ったもの、親中派の二階幹事長の依頼を受けてのことと報じられています。これも都知事選の自民党支持への布石。
つまり、小池さんは、自分の都知事再選のために、コロナを利用したのです。医療従事者を危険に晒し、中小事業者や経済的弱者の生活を破壊し、ある意味、日本経済を破壊しました。いつまでもいつまでも自粛要請を解除しないのは、都知事選まで引っ張りたいのだと、都庁の中でも噂されています。
不気味なのは、これだけ無策を続けていても、小池さんを叩くメディアが登場しないことです。対抗馬が無く、当選確実だと思われている状況の中、敵にしたくない、ということなのでしょう。自民党東京都連のイメージが、これまた超昭和なので、担ぎようがないのかもしれませんが。選択肢が無いってホントに不幸です。
日本初の女性総理誕生か!?と持ち上げるメディアもありますが、学歴詐称をひっぱるのはさすがにマズイ。口止め料として、ず~っとエジプトにODAをたかられそうです。安倍さんが小池さんを封じるには、尚早でエジプトへの支援を打ち切ることなんでしょうけどね。国際支援は国のお仕事なので。
それにしても、この本を読んでいると、小池さんの闇やあざとさを感じるだけでなく、昭和の野心家女性の強欲さを思い出して、ちょっと心に毒が入ってくるのを実感しました。今、表舞台にいる人たちも、学歴詐称、経歴詐称、魑魅魍魎な愛人関係などなど、ドロドロがまだ生きてるし。平成のベンチャー業界でもいろいろあるし。
東京都民の生活に興味が無いことは良くわかったので、コロナ第2波、首都圏直下型地震に向けて一層備蓄にはげみます。