TOKYO LUXURY AUTHORITYという団体の会員企業向けに、オンライン講義を行いました。富裕層マーケティングを行っているところです。割とふわふわした依頼で、その後のフィードバックも無いので、お役に立ったのかどうか、今一つわかりませんが、私自身はかなり勉強になりました。
今、海外の富裕層向けマーケティングでは、必ず”日本のコンテンツ”がメインテーマになっています。これは当然のことで、グローバルトラベラーにとって、その土地に行き、その土地ならではを感じられたり、体験できないと旅行の意味がありません。私自身のことを言えば、米国に旅行に行って、一番困るのがお土産品。ちょっと洒落たものになると、ヨーロッパのものしか置いていないので、いつもDFSでチョコレート(しかもスイス製)になってしまいます。昨年行ったオマーンでも、あれだけフランキンセンスがある場所なのに、フランキンセンスを使ったスパが無く、なぜかアジアを経由したラヴェンダーオイルでの施術でがっかり(タイマッサージでした)。そこいくと、日本はお土産はたくさんあるし、和食もあるしで、人気があるのもわかります。
でも、これがホテルとなると、なかなか難しい点もあるようです。欧州から来た友人が、東京のホテルで驚いていたのが、スパの化粧品がスイス製やフランス製で、アロママッサージもフランス製のオイルだと自信をもって言われたことだと話してました。かつ、どこかの神社でお参りしたいとコンシェルジュに頼んだら、行ったことが無いから紹介できない、と言われたそうです。
”君たち、もっと自国の文化に誇りを持った方がいいよ、植民地じゃないんだからさ”
LUXURYの前に、まずは自国を紹介できないと、恥ずかしい。
どうしてこうなってしまったんだろう?
実はその答えが、伊勢にありました。
とっても感動した”披講”今回、烏帽子をかぶった正式な衣装での様子を拝見することが出来ました。が、これはとっても特別なことなんだそうです。宮中での披講も、実は洋装(スーツ)。明治から変わったとのことで、今は伊勢神宮でも披講はスーツとのこと。この事を知っただけでも、今回伊勢に行った甲斐がありました。
日本にとって、明治維新は政治・経済・文化の大革命でした。例えばお化粧。江戸時代まで、身分が高い人ほど白く塗り、既婚女性お歯黒をしていました。が、これは”野蛮人に見られる”という理由で全面禁止。正装はすべて洋装に変わり、宴も西欧式に変わりました。(鹿鳴館の時代)留学経験のある政府要人は英語とフランス語ができました。当時翻訳は無かったので、最新の技術を学ぶには、まず語学が出来ないとどうしようもなかったからです。私の祖母も、英文学はすべて原語で読んでました。
政府が力を入れたのは、”グランドホテル”でした。欧米人が宿泊できるグレードのホテル。ベッドのある洋室にフレンチに、英語の接客。これで西欧列強に認められ、技術者を迎え、そして、外貨獲得を目指しました。ある意味、日本のホテルが、”洋式”を追求し続けたのは、当たり前のことだったのかもしれません。
そんな、”目指せヨーロッパ!”を続けるなか、私たちは、自国の文化と歴史を捨てました。今、外国人が来るから、急にアピールできるものを探せ・作れと言われても、提供できるのは”なんちゃって”でしかありません。かつ、東京は歴史が浅い。
この間宿泊した、フォーシーズンズホテル東京大手町は、とっても充実してました。あのあたりの歴史をまとめた冊子があったり、短冊があったり。このホテルの開発チームは、じっくりお江戸を研究したのでしょう。私自身知らなかったことがたくさんありました。日本文化へのリスペクトを感じて、とても嬉しい。
本当は、日本のホテルがもっと深堀りできるといいのですが。
セッションでは、課題の指摘も多くありました。伝統文化に近づくほどに、コンテンツの魅力度と課題は比例している感じでした。ふむふむ。