鳥獣戯画展を観に行ってきました。
ウサギとカエルが相撲を取っている絵がある、ぐらいしか知らなかったのですが、面白くて可愛い!書かれた時代はわかっているそうですが、誰が何のために描いたものなのかは不明なのだそうです。甲乙丙丁とシリーズになっていて、人間が描かれたバージョンもありました。
ウサギとカエルと猿は人間並み、でも、牛やイノシシは動物なんです。このあたりの取り合わせも不思議で、あまりロジックなどはなさそう。そして、ひたすらに楽しい。平安時代から鎌倉時代に描かれたそうですが、この頃は伸びやかだったんだなーと妙に感心してしまいました。あちこちで、思わずくすくす笑ってしまいました。
鳥獣戯画は日本の漫画の元祖と言われているそうですが、だとすると、日本人は本当は面白くて伸びやかなのかも。
江戸時代だって、町人文化が花開いているし、明治以降の日本人はほんとの姿じゃないかもよ、と思ったりして。
で、その翌日に行ったお茶会。テーマは「初心忘るべからず」大真面目な修行についての心構えの禅語が出てくるのかと思いきや、寄付きのお軸はこれ。
聞けば、ご亭主のお嬢様方が、お茶の稽古を始めた頃の足型なんだそうです。一歩一歩進む、の意味を込めたとか。
そんな和やかな雰囲気の後、本席では、先代の吉左エ門さん(直入)の楽茶碗が勢ぞろい。全部ほんもの~!
直入さんが、フランスの土で焼いていたころの作品。佐川美術館でガラスのショーケースの中にあったシリーズです。持ってみると軽い!点てやすく飲みやすいそうです。(私の隣の隣の方が飲んでおられました)
楽茶碗と言えば、利休さんの時代に型が出来た茶碗ですが、広げて遊んで、可能性を模索なさったんでしょう。並べて見ると、ため息が出ます。
そして、点心のお席。
雷神の子供が、雷をうまく鳴らせずに、落としてしまった様子。
すっごいアートかと思いきや、ご亭主のお嬢様の作品。お名前はあいこさんとおっしゃるようです。印は猫ちゃん。”表具代は立派な値段だった”と笑っておられました。
窮屈で退屈だと思われがちな茶席ですが、ご亭主の趣向によっては、こんなにも笑い溢れる和やかなお席になります。そして、楽茶碗のチャレンジの軌跡を見ると、芸の追求にも遊び心は本当に大切なんだなあ、と感じました。本当に2日続けてほっこりするような良い日。(実は大雨だったんですけどね)
以前、とある茶会の手伝いをした際、ご亭主が”お道具お道具”とおっしゃる方で、結局その方はお道具屋さんから、名品を有料でお借りになりました。大層なお値段だったので、お手伝いするこちらもピリピリ。そのお席、ブランド品で満ちて、立派には見えたかもしれませんけど、そこに「物語」は無かったんだろうと思います。借り物づくしのお席では、盛り上がりも今一つだったように聞きました。
どんな場でも同じ。
借り物は所詮借り物。遊び心こそ豊か。
楽しむ気持ちから、人に伝わるものは生まれる、と思った週末でした。