「インバウンド・ルネッサンス日本再生」本が届きました。
2019年に発刊された「インバウンド・ビジネス戦略」に続く2冊目です。前作は経済学者・経営学者・エコノミストが選んだ2019年「ベスト経済書」ランキング(ダイヤモンド社) 第10位!に選ばれています。中心となって執筆している池上さんは、早稲田大学の教授であり、BCGの後輩でもあります。グローバルカンパニーの競争力の研究や、ブルーオーシャン戦略の第一人者。数年前に、マーケティングについて話をしていた際、ツーリズム、ホテル業界の状況を話したところ、それは問題提起が必要だ!との流れになり、1作目が誕生しました。
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2冊目となる今回は、関わらせてもらう機会をもらい、論旨の方向議論や、フィールドワークに参加し、富裕層市場についての章の前半の執筆もしました。観光について、しっかり書かれたビジネス書がほぼ皆無である日本において、これが唯一無二のテキストになり得る本だと思います。自信を持っておススメします。相当盛りだくさんになり、内容超濃いです。ホテル業、観光業に携わる人、経済を考える学生さんは、10回は読んで欲しい。
日本におけるホテル本とか観光本は、”おもてなし”の精神論や、社長や総支配人の”スター本”がほとんどです。もちろんその内容で学べることもあるとは思うのですが、何せ客観的なファクトが弱い。アカデミック分野の方が主体となってまとめた本なので、海外のデータや論文も多く入っています。で、私が執筆するにあたり、やっぱり日本に既存データは無かった・・。という訳で、Boston Consulting GroupやCredit Suisseあたりのグローバルリサーチを探し、グラフを作成しました。久々の数字ひろいにグラフ書き、実は相当しんどかった・・。でも、私自身この分析作業を通して見えたものが多くありました。
私がホテルに関わるようになったのは、北海道のウィンザーホテル洞爺の再生プロジェクトが最初ですが、実は相当考えての転身でした。その直前に関わったシリコンバレーベースのプライベート・エクイティ(ファンド)のプロジェクトで、いかに日本のテクノロジー産業が脆弱か、ITのデファクトで勝負するには、かなり難しいことを痛感しました。ITの流れを考えると、いずれお家芸の家電もダメになるだろうと感じました。その解を求めてINSEADのマネジメントコースに行き、成熟した国の産業がどうなるか、グローバライゼーションの中で、日本がマネタイズできるものは何か、考えました。その答えが付加価値型のツーリズムだったのです。ただ、当時は、ほぼ誰にも理解されず、”趣味””都落ち”と散々な言われようでした。
それから20年が経過し、シーガイアの再生を経て、ホテルスパを中心に、どうすれば利益を上げる産業になり、雇用が創出され、地域の産物を換金できるのか、ずっと手探りで取り組んでいます。その間、日本のホテル業界には外資や投資マネーが当たり前のように入るようになり、所有と運営の分離も進み始めました。ホテルも観光も、趣味・利益度外視から、ようやく”産業”にシフトしつつあります。
致し方なく、インバウンドゲストを受け入るのか、主導権を持って顧客を選び受け入れるのか、どちらの道を行くかで、日本の将来は180度違ってきます。
最後のチャンスに駆けたい、アクションを共にする仲間を増やしたい、そういう想いを込めた本です。