北京オリンピックとパラリンピックの間に始まった侵攻、まだまだ終わる気配を見せません。旧ソ連と欧州東北部の境界線には、歴史始まって以来の長い経緯があるようなので、軽々に言えないことが多くあると思います。
ただ、あの地域におけるロシアへの怒りと怖れには、凄まじいものがあると感じたことは何度かあります。
リトアニアに行った時に、撮影した一枚。ロシア正教の建物です。日本大使館が入っているビルの窓から見えたので、無意識に撮りました。タマネギ頭、綺麗だな、と思った記憶があります。懇親会の際に、”こちらはロシア正教なのですか?”と口にしてしまい、本当に後悔しました。(やっぱりどこの国でも、宗教のことは口にしちゃダメですね)
この建物、”憎しみの象徴”なんだそうです。リトアニアも、歴史的に何度もロシアに蹂躙された歴史があり、街の中心である、この場所に建てられてしまい、強制的に改宗させられた時代があるそうです。独立した今、取り壊しの議論もあるそうですが、ロシアに対する強い負の想いを忘れないように、残しているという話でした。
街中には、同じ時代に作られた拷問の施設もあります。今、そこは博物館になっていて、観光客も見ることが出来ます。滞在中、少し体調が悪かったので、私は遠慮してホテルで休んでいましたが、訪問した方がほどなく戻ってきて、寝込んでおられました・・。アウシュビッツも見に行った事のある方でしたが、それでもかなりきつかったというお話でした。
同様の記憶は、フィンランドにもありました。美術館に飾られているアート作品の中には、森の悪魔が描かれた作品が多数あります。空間がどよ~んと重い雰囲気です。この森の悪魔=ロシアの軍隊という解釈もあるそうで、悪しきものが、森の奥からやってきて、人を襲い、多くの血を流していく、という物語仕立てになっています。
遠いアジアにあって、今回の侵攻について理解できる部分とそうでない部分はありますが、はっきりしているのは、ロシアという国が、ずっと隣国を攻撃し続けていて、強い警戒心を持たれ続けているという事実です。日本でも、この国だけは信用できない、という高齢者の方は多くおられますが、それも世代が変わるにつれ、徐々に薄れているように思います。
日本でも若干報道されていますが、イギリスは、随分とロシアの富裕層に寛大で、高めの不動産を続々とロシア人が買っている様子を目の当たりにした時期があります。郊外の素敵なマナーハウスをスパにしたい、という依頼を受けたとき、オーナーはロシア人で、予算は青天井だよ、おいでよ!と陽気に誘われました。オーナー、ロシア人なの?と危惧すると、”あなたいつの時代に生きているのよ~”と大笑いされましたが、当たらずとも遠からずという感じだったのでしょう。(ちなみに、私はロシアの案件とインドの案件は受けないことにしています。)
プーチンが暴走しているだけで、ロシア国民は悪くない、という説もありますが、私にはそうは思えない。ああいうリーダーを生んでしまう土壌が、あの国にはあるんだと思います。どういう収束を見せるのか、本当に心配です。
追記;以下、4月3日付 共同通信のニュースです。リトアニアの強い想いを感じます。
バルト3国の一つであるリトアニアはロシア産ガスの輸入を2日に停止した。3日までに発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、エネルギーのロシア依存脱却を目指していた。ナウセーダ大統領は「今月からリトアニアにロシア産ガスは存在しない。われわれができるなら、残りの欧州もできる」とツイッターに投稿し、他の欧州諸国も輸入をやめるよう要請した。 リトアニアのエネルギー省は声明で「ロシアのガス大手ガスプロムから供給を受ける欧州連合(EU)加盟国で初めて、ロシア産ガスからの『独立』を果たした」と強調した。 リトアニアは、旧ソ連から独立した国家。