ホテルやスパにかかわるようになり、しみじみ感じるのは、日本の文化は季節感で成り立っているということです。スパでは、人も自然の一部ととらえ、季節の変化に伴い変わる体調を、調整する手段としてセラピーと学びます。日本と同じように、四季がはっきりしている国もあるので、大なり小なり、季節感を楽しむ風習はあります。ただ、それを、美意識や歳時にまで高めている国は、日本だけだと思います。
日本の食が、ユネスコの文化遺産に選定されたのも、そこにありました。歴史や伝統が、食文化に根付いている稀有な事例、として高く評価されてのことです。
ただ、今の私たちの日常生活では、急速にその習慣や知識が失われているのも事実です。家にいた頃は、まだ少しは体験することがありましたが、実家を離れて一人暮らしをし、仕事を始めてからは、正直言って、”それどころじゃない!”という感じで、遠ざかる一方。
これではいけない!と一念発起して、お茶を習うようになり、接する機会は増えましたが、いかに自分が日本の風習を知らないか、また改めて実感することの繰り返しです。知れば知るほど奥深く、理解しては忘れての繰り返しで、いったいいつになれば、凡その事がわかるのか・・?
そんな中、私の長年の友人である、川邊りえこさんが、素晴らしい書籍を出しました!
時折伺う彼女のサロンで撮影した写真満載で、本当に美しい!12ヶ月にわたり、しつらえられたものが、丁寧に説明&撮影されています。お値段は若干高めですが、和文化に興味のある方には、おススメです。
読むだけでも楽しいのですが、わからない言葉もそれなりにあり、ううむ、これは質問に行こうかな、と思っていたら、勉強会のお誘いがありました。解説してくれるとのことです。
というわけで、5月(皐月)の会に行ってまいりました。
5月のモチーフは、かなり豊富で、田植えあり、薬玉あり、葵祭りあり、そして、もちろん、端午の節句ありと賑やかな月です。
この流れは、実は疫病対策なんだそうです。気候が良くなると、虫が出てくる、虫が出てくると病気が流行る、それを防ぐために薬玉を作り、防虫効果のある菖蒲を活用する、といった流れだと聞くと、すすーっと入っていきます。かつ、日本人はお遊びやダジャレが好きで、菖蒲→勝負→鎧兜 という説もあるのだそう。なかなかにお茶目です。食中毒対策も、日本の薬草の大きな役割です。
薬玉は、西洋では、ペストが流行った時にも登場していますが、その前から、疫病が流行ると登場していました。こちらは首から下げる対策です。
こういう、東西の共通点を知ることも、また楽しい事です。