今や日本で唯一の明るいニュースとも言える大谷翔平。思えば、コロナの時期でも彼のニュースに救われ、コロナが明けても戦争のニュースや国会議員の醜態が報じられる中、相変わらず救いとなる彼の笑顔、まさに生き神様という感じです。
人として、どれだけ軸が強いのか?と報道を見るたびに驚きの連続です。今回の移籍にあたり、エージェントが登場しましたが、トム・クルーズが出てきたかつての映画を思い出しました。優れたスポーツ選手であっても、成功するにつれ、豪華な生活を好むようになり、多くの資金が必要になっていき、その資金をエージェントに要求するようになります。その交渉に明け暮れる姿を描いていますが、多くの選手たちは、結局自滅していきます。某天才ゴルファーがまさにそれ。
以前、とあるエージェントと仕事をした際、どうして優れたアスリートが道を踏み外してしまうのか、尋ねたことがあります。彼曰く、強烈なコンプレックスが根っこにあるのではないか?とのことでした。一流になるためには、ハングリー精神が寄与することがあり、多くの成功したアスリートは、貧困脱出をゴールに見据えて努力します。本人もそうですし、周囲の家族も同様。そうすると、一定の成功を収めた後は、金銭への執着が強くなり、それが軸をぶらすことや弱みに繋がると嘆いていました。
もともと、好きな本業に集中できないものなのか?と疑問をぶつけてみましたが、彼の答えは、”神様でいられるのは一瞬なんだよ、人間は弱いんだよ”でした。
なので、今回の大谷の契約は、驚愕しかありませんでした。彼の姿勢を他のアスリートたちがどう感じるのか、興味深いところです。
アスリートだけではありません。ベンチャー経営者にも似たところがあります。
以前、インキュベーションの仕事をしたことがありますが、夢は簡単に打ち砕かれました。ちょっと小銭が手に入ると軸がぶれてしまう若手経営者、上場すると資金を遊びに使ってしまう経営者、そんな彼らの管理と教育に追われた結果、私はベンチャー育成とは距離を置くことに決めました。その後震災があり、コロナがあり、価値観が変わったかと思いきや、なかなかそう簡単にはいかないようです。
小銭が手に入ると、車・ゴルフ・別荘、それに女遊び。群がる人たちもたくさんいます。以前より世代が若くなった分、道を踏み外す人も多くなり、問題も多様化しています。そうやって、小事で道を踏み外すことが、醜悪なことだと気づいて欲しい。贅沢の仕方にもセンスと知性がいります。
このところの報道を見ていて、面白い事に気が付きました。大谷がすることは、何でも称賛されます。華美ではない服装、豪華すぎない時計。それぞれに十分に上質なものですが、それを米国では、控えめであると見ているようです。
大谷が日ハムに入った後、彼が外出着を持っていないことが面白おかしく報道されたことがあります。ジャージしか持っていないので、食事会にも行けなかったとか、その後購入した外出着もセンスが悪くてイジられたとか。きっと野球選手は、せっせとブランドショップに通い、高額な時計を買って、”センス”を磨いていたんだと思います。
が、輝く人は、それがスタイルになり、ブランドになる。本人がブランドであれば、飾り立てる他のブランドは必要無いということなんだと思います。
自分の軸を持ち、その軸を磨き続けることが、充実した人生に繋がる、大谷の王道を行くスタイルは、日々勇気を与えてくれます。