小学生の頃、”募金をした”と両親に話したところ(褒められると思って)、募金や寄付は独り立ちしている人のすること。子どものうちはしなくていい、と思わぬ反応があって以来、あまり積極的ではなかった私。社会人になってからも、正直あまり興味がなく、そのうち悲しくなるほど税金が取られる状況になってから”こんなに払ってるんだからその上に寄付はできない”とまたまた距離を置いていました。
そんな私の意識が変わったのは、コカ・コーラに勤務していた折、たまたまゴイゼッタ会長の逝去時に、本社であるアトランタに出張で滞在していたことがきっかけでした。名経営者として著名なゴイゼッタ氏は、もともとキューバ難民として米国に住むことになり、奨学金で教育を受け、研究職で入社してから、CEOになった人です。ゴイゼッタ氏がなくなった直後に、空港に着き、タクシーでまずは本社に向かったのですが、”コカ・コーラに”と告げると、タクシーの運転手さんが、はっとした表情で、”神の祝福を”と言うのです。はじめは面喰ってしまい、どう反応していいかわからなかったのですが、聞いてみると、ゴイゼッタさんは素晴らしい人で、この街は彼のおかげで多くの恩恵を受けている、惜しい人を亡くした、と話してくれました。
ゴイゼッタ氏は、CEO在任中に、コカ・コーラの株価を大きく伸ばした実績のある人です。彼の寄付の手法は、自分の株を財団に寄付し、自らの経営手腕で上げた株価の分、財団が使える資金を増やす結果をもたらした、というものです。タクシーで会社に向かう途中、病院、学校など、彼の財団が行っている社会活動を教えてもらいました。自分がアメリカの社会から受けた支援(特に教育的)を、地域に還元したい、との思いが強かったのだと思います。
このことを知り、単にお金を出すだけではなく、自分の知識や経験も、社会貢献になるのだとようやく考えるようになりました。それからは、少しずつ、様々な機会に参加するようになり、そのおかげで広がった人脈も多くあります。経済的に独り立ちした今は、金銭的な寄付も行っていますが、こういったことは個人で行うものであり、”**に寄付をしている”と表明するのもどうなのか、と考えているので、基本的にはあまり口にはしません。
ただ、東北大震災に関しては、やや考えが変わってきました。直後から様々な団体の活動が立ち上がり、その内容もネットなどを通じて詳しく知ることができます。少しでも資金を集めるには、多くの賛同者が必要です。日本赤十字やあしなが奨学基金など、知名度があれば、資金集めに苦労はないのでしょうが、新しい団体では知名度の向上が大きな壁となります。
震災直後は、多くのNPOがすぐに使える資金を必要としていました。知人がかかわっている信頼できるところには、すぐに振り込み、共感してくれそうな友人たちに、メールをフォワードする日々が続きました。もちろん”私も寄付したんだけど”の一言を添えて。
そして、今回、初めて会社での支援も決めました。うちの会社で行う金銭的な支援は小さなものですが、有り難いことに、私たちにはスパの店頭があります。ホテルやスポーツクラブなど、多くの人が集う場所であり、ゆっくり時間を過ごされることの多い場所でもあります。まずは、活動を知ってほしい、その上で賛同してくだされば支援してほしい、と考えてのことでした。嬉しいことに、日々多くの方の好意が寄せられています。
会社での支援を決めたBeyond Tomorrowは、その活動が詳しくアップデートされています。HPを読むたびに、私自身が元気づけられます。こういうのを”情けは人のためならず”と言うのでしょうか。