高知駅から、JRに揺られて、四万十川のほとりに向かいます。
早速、蒸留工程の見学。まずは、原材料の柚子の皮。
柚子王国高知では、柚子の実の部分がジュースやポン酢などに加工されています。その加工の工程の中で出てくる膨大な柚子の皮を、廃棄するのではなく活用できないか?と始まったのが、この柚子オイル作り。通年で加工できるように、柚子の皮は冷凍保存されています。
それを細かく切って液状にし、
そしてそれが釜に入ります。
そして蒸留を経て3層に分かれてきます。一番上の黄色い部分がオイル
一番下の部分は、柚子成分の少ない水分。この部分は廃棄します。この工程を繰り返して、いよいよ採取。
この液体を冷凍保存。そして更に油分と水分を分離させ、その繰り返しの後、ようやく純度の高い柚子オイルが完成します。
箱30個分の柚子の皮から、採れるオイルはほんのわずか。本当に貴重なものです。
柑橘からのオイル採取は、圧搾法が一般的ですが、アルコールを使わないと採取できません。アルコールを使わず採取でき、より安全性が高いのが蒸留法、でも、採取率ががくんと落ちてしまい、経済性が合いません。それを特別な製法で工夫して、採取率を上げているのが高知大学で開発された手法なのだそうです。(それでも、圧搾法に比べると、採れるオイルは格段に少ないのが現実です)
含有成分、残留農薬のデータも定期的に取っておられるそうで、データを全て見せていただきました。残留農薬もちろんゼロです。近年では、オーガニックと謳っているものの中から、農薬や化学薬品が検出される例が続出しており、単なるラベルだけでは安心できなくなってきています。こうやって、実際に工程をオープンにしており、データも開示している作り手さんは、信頼できます。
柚子オイルはじめ、柑橘系のオイルは多くの人に愛される爽やかな香りですが、一片で、安定性に弱く、変質しやすいというデメリットもあります。(お土産屋さんや大量販売の店舗などに長時間置かれている商品は、まず天然物ではないと考えた方が良いです)皮はすぐに酸化しますし、オイルになっても、冷暗所での保管がマストです。そのこともあり、当社でも商品製造する際、最低ロットを作り、一定期間に使い切るようにしています。コストは高い、手間はかかる、でも、これしか納得のいくものを使うには方法が無いのです。
その原材料をどうやって作り、保管しているんだろう、と思っていたのですが、皮も冷凍、途中工程も冷凍、採取する際は、休憩を入れず一気に採取する、という工程でした。こうやって、繊細な柚子のオイルの恵みが閉じ込められて私たちの手元に届きます。
”もったいない”から始まったこの取り組み、長年の試行錯誤を経て、ようやく安定供給できるようになったんです、とのお話が心に染みました。