日経トップに大きく取り上げられたこの記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48745980Q9A820C1000000/
株主第一主義で知られた、米国企業の重視点が変ってきたことが紹介されています。
私が仕事を初めてから入った最初の会社のBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)と次の会社(日本コカ・コーラ)で叩き込まれたのは、顧客第一主義でした。BCGでは、Client Firstと初日から叩き込まれましたし、コカ・コーラでは、商品開発の際に、Positioning Statementというのを書くのですが、冒頭に、まず、Forだれそれ、というのを明確にします。For kids, ということもあるし、For male&female, For consumersと様々です。が、何より、その商品が、顧客の役に立つこと、その役に立つ商品を作ることで、ブランドマネジャーは、社会の役に立っている、と自覚する(させられるようになります)
私は、それが正しい認識だとずっと信じていました。が、100%否定される事態に直面することになります。
H&Q Asia Pacificというファンドに入ってすぐ、事業企画書を提出しました。メールで送ったその数分後に、電話がかかってきて、”Takako, you're totally wrong!"となぜかとってもおかんむり。えっ中身読んでないじゃない!?とこちらも思わず喧嘩腰になっていたところ、どうも、冒頭のFor customersを、For shareholdersにしなくてはならない!と言いたかったらしいです。えっ、でも、投資家にとっても、買ってくれるお客さんがいなければ、リターン無いよね?と話をしても、とりつくしまもありません。
これは、私にとって、ほぼ自己否定で、とーってもショックを受け、いやあ、この仕事、このひとたち、そもそも私に合わないかも・・と頭を抱える事態になりました。2000年頃の話です。
割と近い環境にいた知人の意見としては、”米国は、いくとこまで行ってぐっと方向転換する、それはそれでエライ!”だそうです。とはいえ、あの強欲な人たちが、本当にどこまで変わるものか、それはそれで興味深い。
もう一つ思い出したのは、まだ事業が立ち上がる前に、節税スキームをと~っても緻密に考えていたこと。これを最初からビジネスプランに入れてました。今、GAFAの税金逃れが問題になってますけど、ネット系企業にとって、この計画の緻密さも投資を得る上で、不可欠だったので、なるべくしてなったのかも。愚かな国家に税金なんか払うより、賢いオレサマ(投資家)に資金を還流させた方が、世界は良くなる、と真面目に思っている人たちでした。実際に、ビル・ゲイツは財団を作りましたし、それにバフェットさんも資金を出してます。米国だと、大成功した後、自分の意思で巨額の寄付をするので、一理あります。
ということで、まず第一歩は”良い会社はリストラ(あまり)しないんだよ、良い会社はちゃんと税金払うんだよ”なのでしょう。その先、どうなるかは、世論次第ということでしょうか。どちらにしても、ちょっといいニュースです。
こんな日が来るとは、夢にも思いませんでした。やっぱり時々世界は変わります。