年明けの1月は、あちこちで、初釜が開催されています。
干支が兎なので、兎モチーフがあちこちに登場しており、宝探しのようで楽しい。宮中のお歌の題もモチーフになります。今年のお題は”友”
茶席の楽しみは、その道具組みに、隠されたご亭主の趣向を読み解くことであり、上級者になれば解説無しで読み取り、そこから会話が始まります。こういうご亭主と正客がいらっしゃるお席に同席できると、その会話の背景にある”想い”に感銘を受け、本当にほっこりした気持ちになります。
が、多くの方が参加するお席では、初心者向けに(?)ご亭主が丁寧に説明してくださいます。この説明が、とにかくとっても勉強になるのです。スパに限らず、何かを創る仕事をしている人にとっては、何よりの学びの場になると思います。
残念ながら、茶席での写真撮影は出来ないので、備忘録として記しておきます。
兎のモチーフは、今年あちこちで見ました。香合に登場したり薄茶の茶碗に登場したり。鳥獣戯画では、兎が人間のような動きで登場しますが、この絵もあちこちで見ました。鳥獣戯画の帯(私も持っている)、今年は活躍してくれそうです。兎の絵を登場させるのは、わかりやすいモチーフですが、竹の花入れを、兎の餅つきの杵に見立てたものは圧巻でした。遠州流のお茶席で拝見しました。竹自体の景色がこれまた素晴らしく、竹自体に華を感じるものでした。かつ、白梅の枝と紅梅の枝を添わせてあり、それが“友”を表しているとのお話です。この枝ぶりも角度も絶妙で、これは心底写真を撮りたかった・・。
”友”のお題ですと、よく登場するのは消息と呼ばれるお手紙です。消息は色んなお席で登場しますが、さすがは初釜、この時期に登場する消息は、古い時代の方々のものがほとんどです。今年は、宗旦のものと小堀遠州公のものを拝見しました。遠州公のお軸は、異なる字体で構成されていたので、敢えて字体を変えられたのかと思っていたところ、合作なのだそうです。茶友として親しくしておられたお坊様と遠州公の合作のお軸はおおらかで楽し気な雰囲気が伝わってくるものでした。こういう軸もあるんだなあ、と、またまた感嘆。
格式のある茶碗が登場する濃茶に比べ、薄茶席はリラックスした雰囲気になります。若手の作家さんに依頼した数茶碗や、遊び心があるもの、それに作家とコラボしたお茶碗を楽しく拝見しました。中でも、これまた遠州流の薄茶席に登場したお茶碗がとても素敵だったので、伺ったところ、朝日焼で松林豊斎さんのお作とのことでした。ちょっとご縁があり、作品をいくつか求めたことがあるのですが、これまでの作品とまるで違う、まさに新境地ともいえるお茶碗でした。指導して作ってもらった、これからも楽しみな作家さんです、とのお話を聞きました。
著名な作家のものでも、正直飲みにくい茶碗もある中、こうやって教えを得ながら、良い茶碗をお作りになる姿勢は本当に素晴らしいなと思いました。遠くから見た景色も美しく、手に乗せた感覚も良く、そして朝日焼らしさも残っていて、何とも言えない良さがありました。良きものとは、独りよがりではなく、こうやって気持ちを受け入れることで誕生するんだな、と感じた日。
今、私自身も、空間から商品まで、様々なものを作る過程の真っただ中にあります。多くの人が関与する難しさもあれば、思いもよらなかった意見が出るからこそ、大きく前に進むこともあります。
多くの学びとエネルギーを得ている今年の初釜です。