すっかり久々になってしまいました。(ナント1ヶ月ぶり・・)
6月1日より軽井沢でのトレーニングが始まり、その準備やら、実際のトレーニング実施やらで、バタバタした毎日を送っています。
スパを立ち上げる場合、大体2ヶ月ぐらいの事前トレーニングを行います。もちろん、参加者の経験度合いや、プログラム自体がどのぐらい新しい・難しいものかによっても異なってきます。今回は7月19日開業に向けての準備ですが、経験者の比率や技術の取得状況から、1.5ヶ月ぐらいを設定してスケジュールを組みました。
今回面接してみて、かなり驚いたのは、”トレーニング期間は無かった”というリゾートホテルのセラピストが数名いたことです。採用の翌日から店に入り、接客の傍ら、先輩の空き時間に技術指導を受け、1週間後には、通常のメニューを行っていた、とのことでした。ちなみに、この方は全くの未経験者でした。
残念ながら、こういった例は珍しくありません。で、意外と料金は高かったりします。リゾートホテルの経営者の方で、”お客はリピートしない”と公言してはばからない方が少なからずおられます。この方たちの考え方は、”ただ1回の機会で、できるだけ売上を上げたい。満足度は高くなくてもいい。”というものなのでしょう。流行すれば、エステやスパを取り入れ、取りあえず頭数も揃えて、売上を稼ぐ、ということらしいです。ビジネスとしての考えは人ぞれぞれだと思いますが、セラピストにとっては、あまりいい状態とは言えません。既に経験のあるセラピストの多くが、”トレーニングプログラムに魅力を感じて”と参加してくれたのは、嬉しいことでもあり、やや複雑な気持ちでもありました。
トレーニングは、もちろん、ゲストにご提供するサービスの質を高めるために行うものですが、この内容によって、セラピストの自信は大きく変わってきます。セラピストの不安は全て手を通じて伝わってしまいます。トリートメントルームはセラピストにとっての舞台と同じです。お客様と一対一になったときに、どんな方に対しても、自信をもってトリートメントをさせていただけるよう、繰り返し繰り返し練習するのです。
こういった技術面のトレーニングの質を高めるのはもちろんですが、私が今回力を入れているのは”カウンセリング”の領域です。セラピストを信頼されるお客様は、本当に多くの質問をなさいます。体のこと、仕事のこと、家庭のこと、本当に様々です。特に最近は、健康に関する情報が溢れていることもあり、まるで、病院の診察室での会話かと思ってしまうほど、専門的な話をされる方も珍しくありません。
洞爺でブルームスパの運営を開始した後、最も困惑したのがこの点でした。そしてもっと困惑したのが、一生懸命な若いセラピストほど、にわか勉強で答えてしまう、ということでもありました。その危険に気づき、ある一定のルールを決めたものの、熱心なお客様を前に”わかりません””お答えしかねます”を繰り返すことは難しかったらしく、完全に解決できた、とは言い難い状況でした。
その頃から考えていたのが、信頼できる医療機関をアドバイザーにつける、ということでした。医療従事者でないセラピストが話してよいこと、控えたほうが良いこと、症状別の対処方法など、人の体に触れる仕事である以上、ここに納得できるノウハウが無い限り、安定した運営はできない、と強く感じたのです。
ウェルネス・アリーナでは、高輪メディカル・クリニックにアドバイザー業務をお願いしています。今回のトレーニングでも、ぜひ講義を、とお願いしたところ、本当に多忙な中をぬって、院長の久保先生ご自身がわざわざ軽井沢までご来訪くださいました。もしかしたら、難しすぎるかな?との心配は全くの杞憂に終わり、時間をオーバーしてしまうほど、セラピストたちからは、多くの質問が出ました。(専門的なものも多く、私も全部は理解できませんでした)そして、それはほとんど、セラピスト自身の経験から来ているものでしたが、かなり切実な相談もあり、いかに不安なまま、これまでお客様と接してきたのかをよく示していたと思います。
トレーニングプログラムは、時として、企画側の思い込みになってしまうこともあり、本当に参加者にとって、意味のある内容を準備するのは、結構難しいものです。準備しつつも、当然”どうかなあ”と思う点が無いわけでもなく、熱心なやりとりを後ろから見てると、何だかちょっと嬉しかったりします。